メンタルゴルフ Vol.24 リスクと正しく向き合う

「リスクを覚悟で攻める」

「リスクが怖い」

自然が相手のゴルフではリスクが少なくありません。

では『リスク』とはなんでしょうか。

ゴルフにおける『リスク』を正しく知ることで、必要以上に不安に思うことが減り、メンタルが整います。

今回はリスク心理学という分野からリスクを学んでいきましょう。

「リスク」と「ハザード」

まずリスクとはなにかを定義します。

リスク(Risk)

 ある行為によって、

  ①望ましくない事態が起こる不確実性(可能性や確率)

  ②その事態の望ましくなさ(深刻度)

 から構成される

OBになることを「リスク」と考えると、①OBエリアに入る可能性と、②OBになったときの深刻度、で表されます。

①のOBになる可能性は状況によってそれぞれであり、ショットの正確性だけでなく、ボールが置かれている状況(ライ)、風などの要素が絡みます。

②のOBになったときの深刻度は、基本的にはOBは「1打罰+打ち直し」なので実質的に2打を失うことになります。

加えて、深刻度は状況によって変わってきます。

例えば10打差をつけているときと、1打差のときでは深刻度が変わってくるのはご想像の通りです。

一方、混同されがちな言葉に「ハザード」があります。

ハザード(Hazard)

 被害をもたらしうる原因物質や現象

2019年のルール改正前までは「ウォーターハザード」という言葉もあった通り、池や川はまさに「ハザード」です。

OBエリアもハザードですし、バンカーや深いラフもハザードと捉える方もいるでしょう。

つまり、OBや池そのものがリスクなのではなく、そこに入ってなんらかの影響が起きる(かもしれない)ことをリスクと言います。

そして、リスクとは人によって尺度が変わってくるということです。

同じ状況でも、リスクが高いと感じる人もいればそうでもない人もいるということです。

「リスク」と「ベネフィット」

なぜ人がリスクを取るかというと、その先に得られる「ベネフィット(便益、恩恵)」があるからです。

当たり前のように感じる方もいるかもしれませんが、ここがとても重要な本質です。

得られる「良いこと」がなにもないにも関わらず、リスクを取ることをどう感じますか?

人によっては、それを無謀だというでしょう。

そうですよね。リスクしかないのですから。

では、ご自身が「リスク覚悟で!」とショットに挑むとき、どのようなベネフィットがあるかをしっかり考えているでしょうか。

ここで言うベネフィットも、状況によって変わってきます。

例えば大きくドッグレッグしているホールで(A)コースなりに行くのと(B)ショートカットするのを考える場合。

(B)ショートカットが(A)コースなりに対して100yd稼げるとします。

これはベネフィットがしっかり明確になっている状況です。

次は、パー5の2打目の池越えで(C)2オンを狙うのと(D)手前に刻んで3打目勝負する場合。

(C)でうまくいってグリーンオンすればイーグルのチャンスが生まれ、2パットでもバーディです。

(D)では3打目にグリーンに乗ったとして、そこから1パットならバーディ、2パットならパーです。

このパー5の事例を読んでいて感じた方もいるかもしれませんが、この場合はベネフィットがはっきりしないかもしれませんね。

その先どうなるかによって、それが本当にベネフィットと思えるかどうかが変わってくるためです。

ただ忘れてはならないのが、(C)は池を越えた分の距離を2打目で稼ぐことができるということ。

※(D)は池を越えていないため

その先どうなるかというのは「たられば」が前提になってしまいがちです。

ベネフィットを考える時は、できるだけシンプルに考えてみましょう。

リスクとベネフィットを天秤にかけてみる

ハザードと向き合う時のリスクとベネフィットが明確になったら、それを天秤にかけてみましょう。

リスクがどれくらいで、得られるベネフィットはどれくらいなのか。

といっても、ゴルフにおいてはあまり細かく考えすぎる必要はないと思っています。

なぜなら、基本的にその状況から打つのは1回限りであり(打ち直す場合を除く)、複数打って検証することができないからです。

そして、状況によって・人によって、その天秤の傾き具合は変わってくるからです。

参考までに、リスク心理学では以下のように考えられています。

受容されるリスクの大きさ = 得られるベネフィットの3乗

簡単に言うと、ベネフィットが10なら、リスクは1000まで許されるということです。

あくまでこれは経済においての話なので、ゴルフにそのまま当てはまるとは言えないかもしれません。

ここで伝えたいことはリスクとベネフィットが釣り合うのは1:1とは限らないということです。

リスク心理学の視点で考えれば、少しリスクが大きいと感じても得られるベネフィットが明確であればリスクを取ることは間違っていないのです。

ちなみに、ストロークゲインド(Stroke Gained)の視点で、トラブル状態からのリカバリーショットでリスクを取るかどうかの分岐点についてもまとめているので、興味ある方はコチラもご覧ください。

まとめ

  • リスクとは、起きる可能性と、起きた時の深刻さで決まる
  • ハザードとは被害をもたらす物質そのもので、=リスクではない
  • リスクを取るときは、得られるベネフィットを明確にしよう
  • リスクとベネフィットは1:1とは限らない。ベネフィットが明確ならリスクがあってもチャレンジしてOK!
参考文献

リスク心理学

中谷内一也 著

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