さあ次のショット。
ボールの後ろに立ち、あなたはなにをしますか?
弾道をイメージする方、すーっと深呼吸している方。
なにかを「考えている」という方もいるでしょう。
はたして、なにかを「考える」というのは常に最善なことなのでしょうか。
ときには「考えない」ことがいいこともある。
今回はそんなお話です。
プレー中に考え過ぎてしまって負のスパイラルに入ってしまう方にぜひ読んでほしいコラムです。
ゴルフは耳と耳の間でするスポーツ
球聖ボビー・ジョーンズはこう言います。
選手権を争うような試合というのは、耳と耳の間で戦われるものなのである
ダウン・ザ・フェアウェイ ボビー・ジョーンズ 著
耳と耳の間、つまり頭(脳)ということですね。
球聖が「頭で考えてプレーしよう」ということを伝えてくれています。
そしてもう一つ。
人間は一本の葦(あし)にすぎない。自然の中でもっとも弱いものである。だが、それは考える葦である
ブレーズ・パスカル 『パンセ』より
『人間は考える葦である』の元になっている文ですね。
考えることができるのが人間。
考えることこそ人間の偉大な力。
ゴルフのプレー中はたくさん考える場面があります。
ラウンド全体の中で、自分がショットする以外の時間がとても長いのがゴルフ。
ゆっくり考えることができるのも、ゴルフの醍醐味の一つです。

考えないことはダメなのか
では、考えることが良いことで、考えないことが悪いことなのでしょうか。
メンタルコーチングをしていると、セミナーやコーチングでこんなことを時々聞かれます。
「〇〇なときはどう考えたらいいですか?」
たとえばトラブルショットの時、簡単ではないショットの時、なにかを考えたいからこその質問なのだと思います。
あえて聞き返しますが、なにかを考えなければいけないですか??
なにも考えず、自分がやってきた練習を信じてターゲットに集中する。それではダメですか?
なにかを考えようとするのは、なにかを意識したいのだと思います。
なにかを意識することで、なにかを得たいのだと思います。
しかし忘れてはならないのが、なにかを得よう(プラス)とするとき、反対にはマイナスがいるということ。
なにかを考えたことで、かえってネガティブな感情が芽生えた経験は誰にもあるでしょう。
プラスにはかならずマイナスも存在するのです。
なにかを考えるときは、プラスもマイナスもあり得るということを心に留めておきたいですね。
「ポジティブでいよう!」なんて言うのは簡単です。
人間の感情が常にポジティブにコントロール出来たら苦労しません。
それならいっそ、『考えない』というゼロの状態をキープするのも一つの手なのです。

二種類の「意識」
心理学において、人間の意識は2つに分類されます。
1つは顕在意識(けんざいいしき)、もう1つは潜在意識(せんざいいしき)です。
顕在意識とは、自分が自覚できる意識のこと。
潜在意識とは、自覚できず、信念や思考によって影響される意識のことです。
実は人間の意識の割合は、1割が自覚できる顕在意識、9割が自覚できない潜在意識と言われています。
つまり、どれだけ「意識」を変えようとしても、全体の1割に働きかけているようなものなのです。
OBを絶対に打たない!って意識してたとしても、潜在的には左右に曲げてしまう意識があるのです。
だからこそ、ここぞというときほど『考えない』
たくさん練習してきたはずです。
たくさんボールを打ってきたはずです。
たくさんラウンドしてきたはずです。
たくさんシビれる場面を経験してきたはずです。
そんな自分を信じてみましょう。
付け焼刃的になにかを意識するのではなく、ただ信じるのです。
変えていくなら奥底の思考から変えていく
もし意識を本気で変えていきたいと思ったら、奥底の思考から変えていきましょう。
1割にアプローチするのではなく、9割にアプローチするのです。
しかし、奥底にある思考や信念を変えるのは簡単ではありません。
そんなときにスポーツメンタルコーチが支えになります。
スポーツメンタルコーチは、単に顕在意識を変えるテクニックを教えるのではなく、ココロの奥底にある信念や思考を引き出します。
その結果、自分でも気づかないような『思い込み』に気づくことがあります。
思い込みがパフォーマンスにフタをしてしまうことだってあるのです。
メンタルコーチはその思い込みのフタを取っていきます。
潜在的にある意識を変えることができたとしたら、あなたのゴルフパフォーマンスにどんな変化があると思いますか?
ゴルフのメンタルは今この瞬間から変えていくことができます。
このコラムを読んで、どんな気づきがありましたか?