あなたは、なにかを「あきらめた」ことはありますか?
「これ以上できない」
「もう無理だ」
そんな気持ちで「あきらめた」こと、一度や二度はあるのではないでしょうか。
あきらめるという言葉、どちらかと言えばネガティブな意味でとらえている人も多いと思います。
福岡ソフトバンクホークスからアメリカに渡り、大リーグの複数のチームで活躍してきた川崎宗則さん。
明るいキャラのイメージもありますが、アメリカから帰ってきた後は自律神経の病気になったことも
公表しています。
そんな川崎宗則さんは、「あきらめるからこそ前に進める」と言います。
それはどういうことなのか。
川崎宗則さんの著書『「あきらめる」から前に進める。』から、あきらめることの捉え方について学びましょう。
「あきらめる」からこそ自分のプレーができる
川崎さんにとって、「あきらめる」ことはむしろポジティブなことだと言います。
いまの僕は野球の理想像を追い求めるようなことは一切していません。理想を「あきらめている」からこそ、自分なりのプレーができるんじゃないかと思っています。
鹿児島工業高校からソフトバンクホークスに入団した川崎さんは、周りのプロ野球選手のすごさを知り、「理想」が完全に崩壊したそうです。
そこで、理想をあきらめることをしました。
自分がああなりたい、こうなりたい、と理想を思い描くことももちろん大事なことです。
しかし、目に見えない理想ばかりを追い求めて自分を見失っては本末転倒。
川崎さんはプロに入ってポジティブに「あきらめた」からこそ、プロの世界で野球を続けてこれたのです。
不完全だからこそ意味がある
川崎さんはアメリカでプレーしていましたが、メジャー契約ではなくマイナー契約でした。
故障者が発生した時などにメジャーに昇格し、その選手が復帰したらまたマイナーに戻るというように、マイナーでの生活が長かった選手です。
その6年間について、「メジャー挑戦は不完全なものだった」と自ら述べています。
しかし、不完全であることも川崎さんはネガティブに捉えていません。
完全燃焼できたからいいというものでもない。不完全でもいいはずです。僕の中ではむしろ不完全の方がいいというか、不完全だからこそ意味があると思うんです。
あきらめる」から前に進める 川崎宗則・著
その理由は、不完全だからこそ野球を続けてこれたということ。
もしメジャーで完全燃焼していたら、引退していたかもしれないと川崎さんは言います。
野球が大好きな川崎さんですが、「人生にとって野球以上に大切なものがある」というのが川崎さんの考え方。
競技だけでなく、人生そのものを豊かにしていく。
このマインドこそ、競技を続けていくために大切なものです。
カーリングのロコ・ソラーレを作り、平昌オリンピックで銅メダルを獲得した本橋麻里さんも同じような考え方を持っています。
ぜひこちらのブログもお読みください。
「あきらめる」は明らかにすること
川崎さんの本の話から少し逸れます。
ここまで、「あきらめる」をずっと平仮名で表記してきました。
実は「あきらめる」には「諦める」の他にもう一つ、「明らめる」という漢字があるのです。
前者の「諦める」が「見込みがない、しかたがないと思い切る。断念する」という意味なのに対して、後者の「明らめる」は「事情・理由をはっきり見定める」という意味があります。
仏教には「諦観(ていかん・たいかん)」という言葉があります。
「あきらかにみる」という意味で、それが現在の「あきらめる」になっています。

川崎さんの考えも、まさに「あきらかにみて」います。
理想ばかり追い求めるのではなく、自分がどうありたいのかを見極める。
それができているからこそ、現在も独立リーグの栃木ゴールデンブレーブスで野球を楽しんでいるのではないでしょうか。
ちなみに川崎さんは「引退しない宣言」をしています。
すべてにおいて自分の人生に「引退」というに文字をつけたくなんですよ。
(中略)
プレーする場所がなくなったとしても「引退」はしない。それが僕が貫きたい「引退しない宣言」なんです。
「あきらめる」から前に進める 川崎宗則・著
「あきらめ」があったからこそ、自分なりの野球の続け方にたどり着けた川崎さん。
これからの野球人生も素晴らしいものになることを陰ながら応援しております。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
もしあなたがいままで「あきらめる」ことをネガティブに捉えていたとしたら、川崎さんの考え方は目からウロコだったのではないでしょうか。
どんな気づきがあったか、ぜひご自身の気づきを大切にしてくださいね。
その気づきの先にどんな素晴らしい変化があると思いますか?
「あきらめる」から前に進める。
川崎宗則・著
