「ネガティブになっちゃダメ」
メンタルを学んでいると、こんな言葉を見たこと聞いたことはありませんか?
悲観的に考えることを悪いことを捉えて、無理やりポジティブに考えようとする方もいます。
ポジティブであることは素晴らしいことなのですが、だからといってネガティブであることは悪いことなのでしょうか。
あなたのココロの中にある『ネガティブ』の概念を、今日から変えていきましょう!
誰にでもネガティブはあるんです!
そして、ネガティブな気持ちが入念な準備を生むのです!
ネガティブ=悪いこととは限らない
まずネガティブ(Negative)とはどういう意味でしょうか。
Negative ネガティブ
否定の、否認の、打ち消しの、否定的な、反対の、拒否の、禁止的な、積極性を欠いた、消極的な、控えめな
皆さんの頭の中にあるイメージも、これらの言葉に近いと思います。
では、ネガティブって悪いことなのでしょうか。
生命の危機が迫っているとき、たとえば目の前にライオンがやってきたとします。
「大丈夫!何も起こらない」って思うのと「やばい、逃げなきゃ」って思うのは、どちらが自然な感情でしょうか。
車の運転を教習所で習った方は、「○○かもしれない運転」をしましょうと教わりましたよね。
「あの歩行者は止まってくれるだろう」ではなく、「あの歩行者はもしかしたらいきなり渡るかもしれない」という意識を持って運転することで今日の交通安全は保たれているのです。
人間は、悲観的なことも考えることができるからこそ現代まで生き残ってこれました。
だからこそ、ネガティブな一面もあっていいのです。
ネガティブ=悪ではないのです。
陽と陰、光と影、プラスとマイナス、正と負のように、表裏一体となって存在するのがネガティブとポジティブなのです。
ちょうどこの半月のように。

ちなみに余談ですが、2020年から流行した新型コロナウィルスの陽性検査においては、感染していない、つまり陰性であることをNegativeと表現します。
ネガティブという言葉が「悪いもの」という印象を持っている人は、検査結果が「Negative」となると違和感を感じますが、陰性であればホッとしますよね。
表があれば裏もあるという心のあり方でいれば、ネガティブも決して悪いことではないと思えるのです。
誰にもネガティブな一面はある
超ポジティブな人にあったことはありますか?
わたしは40年弱生きてきましたが、心の底から常にポジティブであり続けた人をみたことがありません。
選手のメンタルをサポートする身としてあえて言います。
いつもポジティブでいる人は存在しないと思っています。
もしそうだという人がいたら、きっとどこかで無理やりポジティブに捉えているのです。
無理やりポジティブに考えることは自分のココロに嘘をつくようなものです。
自分のココロに嘘をつくと、いつかツラくなる時が来るでしょう。
「この人ポジティブだよね」
「あの人はネガティブだよな」
他人を、もしくは自分を見て、ポジティブかネガティブかのどちらかに分類していませんか?
ポジティブな人とネガティブな人に分かれるのではなく、ココロの中のポジティブとネガティブのバランスが人によって違うだけなのです。
ある人は50:50かもしれないし、ある人は70:30くらいかもしれません。
0:100や100:0な人というのはおそらくいないでしょう。
だからこそ、自分の中にネガティブな気持ちが芽生えても、決してそれを否定しないでください。
否定するとネガティブな気持ちがより強くなります。
ネガティブは悪ではないことは前述のとおりですが、ポイントはそのバランスなのです。

ポジとネガのバランスを変えていこう
ネガティブ=悪でないとはいっても、やはり競技においてパフォーマンスを上げていくならポジティブの割合を上げていきたいですよね。
コツは、ネガティブを受け入れながら、ポジティブなことを少しずつ見つけていくことです。
「ネガティブを受け入れる」というのがポイント。
例えば、一人で入ったランチのお店の味がイマイチだったとします。
「なんかハズレの店だな」って思ってしまったときは、まずその事実を受け入れる。
なぜなら、その店を選んだのも自分ですからね。
まず受け入れましょう。
そんなお店にもきっといいところがあるはずなんです。
外観がオシャレ、駅からとても近い、雰囲気が好き。
小さなことでもいいです。
すると、その店を選んだ自分を肯定できます。
ネガティブの中にも、ポジティブを見つけることができます。
ネガティブを打ち消すのではなく、その先にあるポジティブも探すのです。
それを続けていけば、自分の中でのポジティブの割合が自然と増えていきます。
ネガティブほど、準備する
繰り返しますが、ネガティブは悪いことではありません。
誰しもが抱える自然な感情なのです。
だからネガティブな自分を責めないでください。
なによりも、ネガティブだからこその強みがあるんです。
それは、準備すること。
心配事があればあるほど、準備をしっかりしますよね?
悲観的に考える時ほど、そうならないための対策を考えませんか?
楽観的であり続けると、心のどこかに「まあ大丈夫だろう」という慢心が現れます。
一方悲観的な人は、準備をしっかりするのです。
結果を出してきたアスリートがみな楽観的であるとは限りません。
悲観的にも考えられるからこその準備力を持っているとも言えます。
京セラグループをつくり、KDDIをつくった偉大な経営者、故・稲盛和夫さんはこう言いました。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
『生き方』 稲盛和夫・著 より
ネガティブとポジティブのバランスを絶妙に捉えた言葉だと思っています。
楽観的であり過ぎず、悲観的であり過ぎず、そのバランスを保っていく。
悲観的だからこその計画性を大切にする。
偉大な経営者の言葉からも、スポーツメンタルのヒントはあるのですね。
自分の中のポジティブとネガティブのバランスとうまく付き合うことがもしできたなら、あなたにとってどんな未来が待っていると思いますか?