日本代表キャップ数:95(2022年10月時点)
川口能活さんに次ぎ、GK歴代2位のキャップ数。
2010年、2014年、2018年のワールドカップに三大会連続出場。
川島選手の経歴を見ると、とても華やかなものです。
誰でも簡単にたどりつける数字ではないでしょう。
Jリーグ→ベルギー→スコットランド→フランスと、数多くのチームを渡り歩いてきた川島選手。
その道のりは決して順風満帆とは言えないものだったと著書で語っています。
競技において、逆境と感じる日々にどんな心のあり方でいるか。
今回は川島永嗣さんの著書「耐心力」から、耐えるチカラを学びましょう。
環境が変われば正解が変わる
日本、ベルギー、スコットランド、フランスと渡り歩き、プロデビューの2001年からここまで8チームに所属してきた川島選手は著書でこう言います。
環境が変われば、正解は変わる。だからまず、その環境における正解を自分で探し出し、自分を変えて、新しい自分を創り出していくことだ。
川島永嗣 「耐心力」より
こちらの図をご覧ください。

真ん中の文字、縦で見れば「13」です。
一方、横で見れば「B」です。
文字が変わったわけではありません。
縦という環境においては「13」が正解で、横という環境においては「B」が正解なのです。
横という環境において「わたしは『13』なんだ!」と主張しても、合っているとは言えません。
誰しも、他人や環境を変えることは簡単ではありません。
川島選手もこう言います。
自分以外の誰かのサッカー観を変えることはできない。だから自分が変わっていくしかない。相手の考えを受け入れて、自分をアジャストさせる
川島永嗣 「耐心力」より
競技を長く続けてきた人ほど、「自分の価値観」にこだわってしまう人も多いかもしれません。
しかし、相手もまた一人の人間であり、一人のアスリート。
自分が変わり、自分がアジャストしていくことが、川島選手なりの耐える方法なのです。

他者を受け入れる
グローバル化が進む現代において、よくこんな言葉が使われます。
”日本の常識は、世界の非常識”
日本では当たり前と思っている事でも、一歩外を出てみればそれが当たり前とは言えないということがあります。
たくさんの国やチームを渡り歩いた川島選手も様々な出来事に直面しました。
ある日監督に呼び出され、「エイジともう一人のキーパー、スタメンはどっちがいいと思う?」という質問を川島選手にしてきたそうです。
常識的には、「それは監督が決めるもの」と思ってしまいますが、そうではない時もあるということに気づけたきっかけだったとのこと。
人間は誰でも、固定概念を強く持ちすぎるとそれ以外を受け入れなくなりがちです。
受け入れなくなると、反発する気持ちがでてしまいます。
そんな環境で川島選手はこう気づきました。
自分の中の“当たり前”の基準で反発するのはエネルギーの無駄だ
川島永嗣 「耐心力」より
自分の当たり前だけが正解と思い込み、他のものを反発してしまうとエネルギーを使います。
それを受け入れていくことで、自分が成長するのです。
当たり前の線引きを変えるということは、自分以外の他者を本当の意味で受け入れるということであり、自分の可能性をより広げていくきっかけになるのではないかと思う。
川島永嗣 「耐心力」より

耐えること=悪いことではない
「耐える」と聞くと、いいイメージを持たない方も少なくないでしょう。
実際、川島選手自身も著書で「日本の現代的な風潮とは逆行しているかもしれない」と書いています。
ツラい環境に耐えることは日本的な美徳とされ、近年はその考えも見直されつつあります。
しかし、川島選手はこう言います。
何かを成し遂げるには、必ず耐えなければいけない時がある
川島永嗣 「耐心力」より
スポーツメンタルコーチの視点でお伝えすると、耐えることが悪いことなのではなく、耐える時の心のあり方がよくないのだと考えています。
ただただ耐えようと思い続けるのはツラいです。わたしだってそう思います。
耐えている今この瞬間、なにを大切にしているか。
どんな心のあり方でいられるか。
耐える時期も自分自身の成長であると思えるかどうか。
心のあり方ひとつで、あなたのメンタルは変わってきます。
逆境は一生続くわけではありません。
ゴルフに例えたら、常に向かい風が吹いているわけではなく、コースを回っていれば時には追い風になることだってあります。
逆境に耐えるココロを今から身に着けたとしたら、あなたにとってどんな素晴らしい未来になると思いますか?
耐心力
川島永嗣 著
