星野伸之さんから学ぶ、自分の武器を活かすメンタル

通算176勝。歴代16位の2,041奪三振。最高勝率賞を二度獲得した元プロ野球選手の星野伸之さん。

オリックスブルーウェーブ(当時名)を経て阪神タイガースへ移籍し、2002年に引退しました。

星野さんの代名詞といえば、スローカーブ。

130km/h程のストレートと、フォーク、そして100km/hに満たないスローカーブで打者を翻弄し、多くの三振を奪ってきました。

2022年に日本シリーズを制したオリックス・バファローズの監督である中嶋聡さんが現役の頃、当時キャッチャーとして星野さんのボールを受けていた時、ある試合で外角に大きく外れたゆっくりなボールをミットでなく素手でキャッチしたのは有名な話です。

150km/h超えのストレートを投げる投手もいた時代に100km/hの変化球で勝負し続けた星野さん。

磨き続けた投球技術だけでなく、自分の武器を活かすためのメンタルが備わっていました。

今回は星野さんの著書『真っ向勝負のスローカーブ』から、自分の武器を活かすメンタルを学びます

結果に背伸びしない

野球には防御率という指標があります。

簡単に言うと、その投手が一試合あたりどれくらい点を取られるかと思っていただければOKです。

防御率3.0なら、9回まで投げきって平均3点取られるということを意味します。

防御率2点台は素晴らしい数字。1点台ともなれば球界のエース級です。

星野さんはこの防御率3.0を目標にしていました。

9回を投げて、3点取られていい。

3回を投げて、1点に抑えればいい。

これが星野さんが現役時代の基本的な考え方。

その理由をこう語ります。

夢のような目標を掲げたり背伸びをしていると、日々の戦いの中で見失ってしまうものも多い。

真っ向勝負のスローカーブ 星野伸之・著

理想が高すぎると、現実とのギャップに苦しくなることがあります

星野さんは自分をよく理解していたからこそ、達成可能な目標をたてていたのです

ちなみに自分のことを俯瞰で見て考えることができる力をメタ認知といいます。

星野さんはメタ認知も優れていたからこそ、自分の武器を試合で最大限に生かすことができたといえるでしょう。

少ないからこそ極められる

そんな星野さんはどのような投球練習をしてきたか。

星野さんはストレート・カーブ・フォークの3つの球種を持っていました。

それら3つを組み合わせたパターンの練習していました。

  • ストレートを投げたあとのカーブ
  • ストレートを投げたあとのフォーク
  • カーブを投げたあとのフォーク

これらの逆も含めて、6パターンになります。

ストレートを何度も投げ続けるよりも、より実戦的な練習を心がけていたそうです。

もし、ここにシュートやスライダーが増えたとしたら。

パターンが2倍3倍と増えていくため、練習量が増えてしまいます。

それは肩や肘への疲労というリスクにも繋がります。

だからこそ、星野さんは3つの球種に磨きをかけたのです。

ちなみに、多彩な変化球を駆使してメジャーリーグの舞台で活躍する選手もいます。

自他ともに『変化球マニア』と認める、ダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)です。

実に11種の球種を操り、2022年はナ・リーグ優勝まであと一歩というところまで来ました。

少ない球種で勝負する投手もいれば、多彩な変化球で勝負する投手もいます。

どっちがいいかではなく、どっちもいいという気持ちを持つと、どちらの良さも見えてきますよ。

プロの投手の仕事はピンチを抑えること

投手がプロであれば、打者もまたプロです。

0-0で試合終了することがほとんどない野球は、9回の中に必ずと言っていいほどピンチが訪れます。

そんなときの星野さんの心のあり方は「今日もなんとかしのいでいこう」でした。

ナイスピッチングなんて必要ない。

試合に勝つために、どうやってピンチを抑えるか。

ピンチを抑えるために、どうやって自分の武器を活かしていくか。

心のあり方しだいで、マウンド上でのメンタルが変わってきます。

心のあり方しだいで、自分の武器の活かし方が見えてきます

自分の武器はなにか。

試合に勝つためになにができるか。

星野さんのメンタルは、様々なスポーツにおいて参考になります。

自分の武器が活かせない。

そう思ったら、まずは心のあり方から変えてみませんか?

参考文献

真っ向勝負のスローカーブ

星野伸之 著

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