「あの人はわたしより強い」
「あいつは俺より弱い」
誰かと比べて「強い、弱い」や「うまい、下手だ」と考えていませんか?
スポーツは他者との競争であることがほとんどなので、つい他人と比較してしまいます。
比較することが全く悪いわけではありませんが、比べ続けるのは苦しくなります。
今回は中国の春秋時代から戦国時代にかけて書かれたと言われている『老子』から1つの話を紹介します。
つい誰かと比べすぎて苦しくなってしまうアスリートへぜひ読んでほしいブログです。
美を美と認めることが悪である
老耼(ろうたん)が書いたと言われる『老子』にこんな一文があります。
天下ミナ美ノ美タルヲ知ル。コレ悪ナリ。ミナ善ノ善タルヲ知ル。コレ不善ナリ。(後略)
『老子』より
世の中のすべての人が、美しいものを美しいと認めることが、醜いという観念を生んだ。
世の中のすべての人が、善を善と認めることが、不善の観念を生んだ。
という意味です。
ある場所を「高い」と思うから、別の場所が「低い」と思うのです。
ある物を「長い」と思うから、別のものが「短い」と思うのです。
強い・弱いにこだわらない
同じように、誰かのことを「強い」と考えるから、他の誰かや時には自分のことを「弱い」と思ってしまいます。
これらはすべて、他との比較から生まれているのです。
そもそも、強い・弱いという価値観も人間が決めたものに過ぎません。
人間と比べたら弱いと思える動植物も、いまこの瞬間も生きています。
「人間と比べておれたちは…」なんて考えることなく、いまこの瞬間を生きています。

他者との比較に良いことはあまりありません。
時には比較することで良い方向に転がることもあるでしょう。
それでも、比較に終わりはないのです。
いまの自分にできることを
他人との比較は、常に自分の外側に意識が向いてしまいます。
終わりのない比較を続ける競技生活をあなたはどう感じますか?
そして、他人を変えることは簡単ではありません。
だからこそ、いまの自分にできることに集中してみましょう。
マンガ 老荘の思想
蔡志忠 作画
和田武司 訳
野末陳平 監修
