『孫子の兵法』という言葉を聞いたことありますか?
今から2,500年ほど前の中国・春秋戦国時代に生きた『孫武』という将軍がまとめたと言われている、『孫子』という兵法書のことです。
(孫子さんの兵法、ではないのですね)
作戦編、地形編、軍形編など、全13編から構成されております。
今回は、その中の「九変編」から、より良い結果に導くための準備の心構えを紹介します。
試合(戦い)は事前の準備から始まります。
試合に向けた準備をするために、どんな心のあり方でいるべきなのか。
このコラムで学んでいきましょう。
智者は両面を考える
智者ノ慮ハ必ズ利害二雑ウ(チシャノリョハカナラズリガイニマジウ)
孫子の兵法 九変篇
優れた人は利益と損失の両面を考える、という意味です。
調子が良い時は、つい良い結果ばかりイメージしてしまいがち。
そんなときこそ、損失をセットで考えておくのです。
損失を考えるとは、そのプレーにおける最悪のシナリオも考慮しておくということ。
例えば、ゴルフにおいてパー5において池を越えたら2オンを狙える状況にあるとします。
うまくいけば2打目でグリーンに乗り、3打目のパットが入り、パー5のところを3打でホールアウト、つまりー2のイーグルというのが良い結果。
一方で、もし池に入ってしまったら+1のボギーとなる可能性も秘めています。
戦略を準備するときは、良い結果と最悪の結果を両方考えておきましょう。
楽観的であり、悲観的に
「悪い結果を考えることは悪いイメージを持ってしまうのでは?」と思う方もいるでしょう。
マイナスのことを考えることで、体がそう反応してしまうことはよくあること。
そのため、悲観的でありすぎることは良いことではないです。
一方で、楽観的でありすぎることもまた良いことではないのです。
京セラの創業者、稲盛和夫さんは著書でこう語ります。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
『生き方』 稲盛和夫・著
計画段階では悲観的でもいいのですが、実際にプレーするときは楽観的でいるということ。
さきほどのゴルフの例であれば、打つ前に考える時には池に入れたシナリオも想定はしておく。
いざスイングのルーティンに入る瞬間は、楽観的に「きっと大丈夫!」と考える。
稲盛さんの考えは経営者に向けた言葉ですが、スポーツにもあてはまるのです。
人事を尽くして天命を待つ
孫子の兵法から2,000年以上経った4世紀ごろの中国において、こんな言葉が生まれました。
”人事を尽くして天命を待つ”
やれるだけのことをやって、あとの結果は運命にまかせる、という意味です。
これは決して、ただ諦めて結果を受け入れるということではなく、やれるだけのことをやろう!ということなのです。
いまの自分ができる最高の準備をする。
そうすれば、結果を受け入れる心の準備も整います。
結果を受け入れるだけの心の準備ができたとしたら、どんな未来が待っているでしょうか。