「頭の中のひとりごと」と向き合おう

『ひとりごと』と聞いてどんなイメージを持ちますか?

ブツブツとなにかを呟くように声に出すことをイメージする方も多いでしょう。

しかし、「ひとりごと」はあなたの頭の中にもあるのです。

無意識に頭の中で呟く言葉も、ひとりごとです。

そして、その「頭の中のひとりごと」はあなたのパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があるのです。

いま話題の本、『Chatter 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』から、スポーツメンタルに活かせる考え方を紹介します。

大事な試合ほどパフォーマンスが上がらないのは、「頭の中のひとりごと」に原因があるかもしれません。

ひとりごとがパフォーマンスに影響を与える

「頭の中のひとりごと」は特別なものではなく、誰にもあるものです。

今このコラムを読んでくれている瞬間も、無意識にあなたはなにかを頭の中でしゃべっています。

そのひとりごとは、あなたのパフォーマンスを上げる時もあれば、下げてしまう時もあるのです。

実例

あるメジャーリーガーの投手は、試合で暴投(ストライクゾーンを大きく外れる球を投げること)したあとに頭の中で『なにか』がつぶやきました。

その投手は、後にそのなにかを『モンスター』と呼んでいます。

その後も暴投、暴投を繰り返し、ついにはメジャーリーグの舞台で投手としてマウンドに立つことは叶わなくなってしまいました。

暴投のようなプレーの後に自分の頭の中で様々なことをつぶやいた結果、良くない方向になってしまったという実例です。

目の前に起きた「暴投」という事実は過去なので変えられるものではありません。

そこで頭の中でどう考えるかによって、先の未来が変わってしまうのです。

本書の中にもこう書いてあります。

人の気分は、何をしたかではなく、なにを考えていたかによって決まるのである。

Chatter イーサン・クロス著 より

自分の周りに起きたこと・自分がしたことではなくて、その時に何を考えたかでメンタルが変わってくるということを教えてくれています。

頭の中のひとりごとはとても多い

「頭の中のひとりごと」が声に出すひとりごとと違うのは、その言葉が多いことです。

ここで少し手を休めて、じっと「頭の中のひとりごと」に意識を向けてみてください。

「頭の中のひとりごと」は声に出す言葉と違って整った文になっておらず、次から次へと言葉(単語)が出てくる方もいるかと思います。

ある研究によると、「頭の中のひとりごと」のスピードは、声に出して1分間に4,000語を話すのと同じくらいとのこと。

わずか60秒の間に4,000の言葉をつぶやいていると思うと、いかに多くて雑になるかがわかると思います。

そのたくさんの言葉が、あなたのパフォーマンスに影響を与えるとすると、「頭の中のひとりごと」と向き合うことが大切であることがわかりますよね。

「ひとりごと=悪」ではない

ここまで読んでいただくと、「頭の中のひとりごと」は悪いものではないかと思ってしまう方もいるかもしれません。

前半にも書いた通り、頭の中でつぶやくことは無意識レベルで起きることなので、自然なことと言えるでしょう。

自然に起きることを悪いことと捉えてしまうよりも、「頭の中のひとりごと」との向き合い方を変えていくことができたら、どんな変化があると思いますか?

ひとりごとがネガティブにならないためのワンポイント

「頭の中のひとりごと」が生じるときにネガティブにならないためのワンポイントを紹介します。

それは、自分自身を少し遠くから見る意識を持つことです。

他人を観察するように、自分を見るのです。

遠くから見るようにすることで、問題から意識を遠ざけることができます。

その結果、否定的な気分の持続時間が短くなると言われています。

とはいえ、物理的に自分をリアルタイムで遠くから見ることは簡単ではないですよね。

自分を遠くから見るためにできることはなにか。

それは、頭の中でつぶやくときに自分のことを「私」と言わずに「名前」で呼んでみることです。

「今日、私はどうしてあのミスに腹を立ててしまったのだろう」

「今日、○○(自分の名前)はどうしてあのミスに腹を立ててしまったのだろう」

と頭の中で呟くのです。

自分の名前を自分で呼ぶことで、あたかも他の誰かが自分に話しかけているように感じることができます。

本書内では、NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズ選手の実例が紹介されています。

レブロン・ジェームズ選手がクリーブランド・キャバリアーズを去りマイアミ・ヒートに移籍した時にこう語りました。

「これだけはやるまいと考えていたのは、感情に任せて決断を下すことだった」

「レブロン・ジェームズにとってベストな選択、レブロン・ジェームズがハッピーになれる選択をしたかったんだ」

レブロン・ジェームズ選手が自分自身のことを名前で呼ぶことで、感情的にならずに冷静に自分を見つめることができていたのですね。

NBAのスーパースターも、「頭の中のひとりごと」と向き合っているのです。

ここまで読んでくれたあなたは、どうやって「頭の中のひとりごと」と向き合っていきますか?

向き合うことができたら、どんな素晴らしい未来が待っていると思いますか?

参考文献

Chatter

「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法

イーサン・クロス 著

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